少年奇譚、ゆめゆめ忘れぬ(ゆめの)

子供の頃の記憶で妙に覚えていること、というものがないだろうか。
私の場合、その中の一つにがある。

夢の中で私は宇宙人殺されそうになっていて、家を飛び出して逃げるのだが、ふと気が付くと知らない道にポツンといて、もの凄い孤独感に襲われて絶望する。

そんな夢を子供の頃に何十回と見ていたのである。
どこかその夢には惹かれるものがあって、私は目が覚めた後、何度も夢で見た「知らない道」を探しに行った事がある。

出発前は謎の「辿り着ける確信」があり、途中までは夢の中と同じ道を辿って行けるのだが、近所にある歯医者さんの辺りから、どこをどう走って逃げていたのか分からなくなってしまって、いつも辿り着けずに諦めて家に帰った。
でも何故か、その夢を見る度に無性に「今度こそ辿り着けるんじゃないか?」という気がしてきてまた探しに出てしまうのだ。

少年の日の私には、それはどこかホラー映画にも似た怖いもの見たさの様な不思議な魅力があったのである。

いつの間にかその夢は見なくなってしまったけど、未だに脳裏に焼き付いていて忘れることが出来ないでいるのだ。

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